心身統一合氣道の特徴
争わざるの理
絶対的天地に争いはなく、相対的世界にのみ争いは生ず。我れ、心身を統一して天地と一体となり、天地の理を実行するならば、人自ずから我に従う。
真の成功の道は、争わざるの理、即ち、平和への道と全く同一の道である。
武道は「戈(矛ほこ)を止めるの道」と書きます。心身統一合氣道は相手と争って勝つ武道ではありません。
相手の心を知り、相手の心を導いて争うことなく相手を制する武道です。
≪まず、自分自身をコントロールする≫
心身統一合氣道は、まず始めに正しい姿勢を学びます。
姿勢と言うと一般に身体の状態を表わしますが、心の姿勢が身体の姿勢をつくっています。
心が落ち着いて安定すれば、身体も自然に安定します。
これを「不動心不動体」と言います。この磐石の姿勢を身に付けるのが心身統一道です。
自分自身の心と身体をコントロール出来て初めて相手を導けるのです。


≪大自然と一体になり、相手の心を知る≫
自分に心があるように、相手にも心があります。
自己中心的な心で合氣道の技を行うと、相手の心を無視し、相手を痛めつけ無理に投げようとしてしまいます。 そうすれば必ず相手の心は反発し、合氣道の技はまったく利きません。
日常生活におきかえても、自己中心の心が人を動かすことは出来ません。
相手の心を尊重して相手を導くとき、相手を無理なく制し投げることも出来るのです。
その為にはまず自分自身の心が相手を受け入れ、相手を理解する素直な心になっていることが第一です。
心が鎮まり自分の「我(が)」を捨てれば鏡に映るように相手の心が自然に分かります。更には天地、大自然の理に沿って、何が正しいかさえも自然に心に映るものなのです。
すべてが在りのまま心に映り、相手の立場に立って本当に理解することが出来れば、争わずに相手を導くことが出来ます。


≪天地を基準にする≫
「相手を理解し、相手を導く」ということは相手の機嫌を取り相手に自分の心を合わせるということではありません。実際10人を相手にすると、それは不可能ですし、これは「人の氣に合するの道」と言えます。
しかし人は誰でも自分の「我(が)」を捨てて天地を基準にするとき、何が正しいことなのか理解することが出来ます。
まず自ら天地の理に合致した正しい行動を行なえば、人は天地の理に導かれておのずから自分に従ってくるのです。 これは「天地の氣に合するの道」です。
≪心身統一合氣道を学ぶ目的≫
心身統一合氣道を学ぶ目的は相手と争って勝つことではなく、本当の心身統一を会得することです。心身統一合氣道の技は 『心が身体を動かす(氣の原理)』という事実に沿って成り立っています。技の理解に止まらず、その本質である心身統一の体得こそが目的です。
強さを論ぜず天地、大自然の理に沿って正しさを追求することが学び方として大切です。
心身統一が合氣道の技のみではなく、日常生活のあらゆる場面で実践されて活かされ、習慣になって本当に身に付く努力を稽古といい「行」といいます。
そして人生そのものがそれに依ってより良く変革されて行ってこそ学ぶ価値があると考えます。
完全に力を抜き、リラックスをマスターすると伸び伸びとした美しい動きが生じ、しなやかな健康体を得られます。
そしてリラックスした自然体から、どんな状況にも適応し、迷わず全力を傾注出来る集中力と積極的な行動力が身に付きますし、大事な場面での落ち着きや困難に直面しても前向きな姿勢を堅持する力が備わります。


また、正しさに対して謙虚で素直な心、自分自身の未熟さと向き合い、正しさを求め続けて行く学ぶ姿勢は、自然に人格を磨き職場や家庭での人間関係が円滑になります。
このように合氣道の稽古は生活のあらゆる場面で活きて来ますので、生活はどんどん変わっていきます。
そして日々の実践の積み重ねから自信が生まれ、しっかりとした生き方の土台が出来ます。
ただ、武道としての心身統一合氣道の持つ『正しさに伴なう強さ』も圧倒的です。それは、日が昇り日が沈むのを誰も止められないが如くです。 つまりは「強さを得たければ、正しさを求めよ。天地、大自然を味方にする生き方をせよ。」の道が心身統一合氣道と言えます。
また心身統一合氣道の動きはすべて理にかない一切無理がありません。
「投げ」も「受け」も正しく心身統一を磨くことを目的として稽古をしていますので、お子様からご年輩の方まで、男女を問わず安心して稽古をしていただけます。
更に心身統一合氣道は全国どこの道場、教室でも教えが一貫していて、乱れることなく伝えられていますので、転居する事情が生じても長く続けられて安心です。

【沿革】
心身統一合氣道会は、合氣道の開祖植芝盛平先生より十段位を授与されている藤平光一先生により、昭和49年(1974年)に創立されました。その後、国内はもとより海外にも熱心に指導を展開し、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界21か国に普及。現在、国内約3万人、海外で約10万の会員の方々が、日々、鍛錬しています。 (心身統一合氣道会 ホームページ、ご著書「氣の話」より一部引用)